ガラスファイバー(ガラス繊維入りの樹脂)は、PPやPA、PBTなどのベース樹脂にガラス繊維を配合し、剛性・寸法安定性・耐熱性を高めた素材です。強度が求められる構造部材やブラケットなどに使用されます。
溶着において最も重要なのは、ガラス繊維そのものは溶融しないという点です。接合面では溶ける樹脂成分が相対的に少なくなるため、繊維の含有率が高くなるほど溶着強度は出にくくなります。母材の強度に対して溶着部が弱点になりやすいため、設計段階で溶着部に必要な強度を明確にしておく必要があります。
ガラス繊維は装置側を削るため、ホーン・治具の消耗が早まる点にも注意が必要です。
熱溶着: 熱板で接合面を溶かして接合する方法です。接合面積を広く取れるため強度を確保しやすい一方、ベース樹脂によっては熱板への付着が起こりやすく、非接触加熱の検討が必要になる場合があります。
超音波溶着: 超音波振動による摩擦熱で接合する方法です。ガラス繊維入り樹脂でも対応可能ですが、溶ける樹脂量を確保するためエネルギーダイレクターを大きめに設計し、振幅も高めに設定します。またガラス繊維が研磨剤のように作用してホーンや治具の摩耗が早まるため、材質選定と交換周期を含めた運用設計が欠かせません。
振動溶着: 接合面を擦り合わせて発生する摩擦熱で接合する方法です。広い接合面を一括で溶着できるため、ガラス繊維入り樹脂で高い接合強度が求められる場合に選ばれることが多い工法です。
このほか、成形時の繊維配向によって溶着部の強度がばらつきやすい点、ベース樹脂がPA系の場合は吸湿による品質変動も加わる点にも注意が必要です。
ガラスファイバー入り樹脂の溶着は、素材特性を踏まえた工法選定と設計段階からの作り込みによって、安定した接合品質を実現できます。