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グリス塗布を自動化する方法と装置選びのポイント|均一塗布・チョコ停ゼロを実現する設計とは

2026.05.21

こんなお悩みはありませんか?

■ グリス塗布量が作業者によってばらつき、製品品質が安定しない
■ 手作業によるチョコ停が多く、生産ラインの稼働率が上がらない
■ グリスの過剰塗布・不足塗布による不良品対応に追われている
■ 人手不足でグリス塗布工程の省人化を検討しているが、どこから手をつければいいかわからない

当社では、これらの課題を解決する「グリス塗布工程の自動化」を可能とする専用機を提案しています。本記事では、グリス塗布自動化の基礎から装置の種類・選び方、設計のポイントまでを詳しく解説します。


1.塗布工程でよくあるご相談・このようなお悩みはありませんか?

グリスは、機械部品の摩擦を低減し、摩耗や発熱を防ぐために欠かせない材料です。自動車部品(ドアロック・ウィンドウ開閉機構・ブレーキ部品など)をはじめ、家電・精密機器・産業機械と、幅広い製品の生産ラインで塗布が必要になります。

しかし、手作業でのグリス塗布には次のような課題が生じやすい点が問題です。

① 塗布量・塗布位置のばらつき

グリス塗布は「感覚的な作業」になりやすく、作業者ごと・時間帯ごとに塗布量や塗布範囲にムラが生じます。グリスが多すぎると周辺部品へのはみ出し・汚染が起き、少なすぎると部品の摩耗や製品不具合に直結します。


② チョコ停の多発

手作業では1個ずつの塗布確認に時間がかかり、ラインのリズムが乱れやすくなります。また作業者の疲労による塗布ミスが、後工程での検査引っかかりやラインの一時停止(チョコ停)を引き起こします。


③ 人手不足と作業者負担

繰り返し同一動作が続くグリス塗布作業は、手首・指への負担が大きく、作業者の定着が難しい工程のひとつです。人手不足が深刻化するなか、グリス塗布工程の省人化は多くの製造現場で喫緊の課題となっています。


④ グリスの物性による自動化の難しさ

グリスは「チクソトロピー性」を持つ流体です。静止状態から流動状態に移行すると粘度が低下し、吐出条件を一定にしても実際の吐出量が変わってしまいます。この物性が、グリス塗布自動化を難しくしている大きな要因のひとつです。


2.グリス塗布を自動化するメリット

上記の課題を自動化によって解決することで、以下のメリットが得られます。

品質の安定化 装置による定量・定位置塗布により、製品ごとの品質ばらつきをゼロに近づけられます。塗布量・塗布エリアを数値で管理できるため、品質トレーサビリティも向上します。

生産性の向上 手作業と比べて塗布スピードが上がり、タクトタイムを大幅に短縮できます。チョコ停の原因を排除することで、ライン稼働率も改善します。

省人化・コスト削減 グリス塗布工程を自動化することで、担当作業者を他の付加価値の高い工程に再配置できます。材料の無駄(過剰塗布によるグリスロス)も抑えられ、材料コストの削減にも貢献します。

作業者負担の軽減 繰り返し作業から作業者を解放することで、労働環境の改善・定着率の向上につながります。


3.グリス塗布自動化装置の種類と特徴

グリス塗布を自動化する装置には、大きく以下の種類があります。それぞれの特徴を理解したうえで、自社の工程に合った方式を選ぶことが重要です。

① ディスペンサー方式(定量塗布機)

シリンジやカートリッジに充填したグリスを、エアまたは電動ポンプで押し出して塗布する方式です。少量・中量の塗布に適しており、塗布量のコントロール精度が高いのが特徴です。

  • プランジャーポンプ方式:粘度変化に左右されず定量吐出が可能。高粘度グリスにも対応。
  • ジェットディスペンサー方式:ノズルを接触させずに塗布できるため、アクセスしにくい狭い箇所や複雑な形状のワークにも対応可能。

② ロボット+ディスペンサー方式

多関節ロボットや直交ロボットにディスペンサーを搭載し、ティーチングにより塗布経路を自動制御する方式です。複数箇所・複雑なパスへの塗布が可能で、多品種対応にも優れています。


③ 専用自動塗布機(インライン組込み型)

生産ラインに組み込む専用装置として設計されたタイプです。搬送・ワーク位置決め・塗布・検査までを一体化した構成が可能で、高速量産ラインに最も適しています。


4.グリス塗布自動化で押さえるべき設計ポイント

装置の種類を選んだあとは、設計段階で以下のポイントを押さえることが自動化成功の鍵となります。

ポイント1:グリスの物性を正確に把握する

前述の通り、グリスはチクソトロピー性を持つため、使用するグリスの粘度・塗布温度条件・塗布量を事前に正確に把握し、それに合ったディスペンサー方式を選定する必要があります。特に高粘度グリスは、エア圧だけでは定量吐出が難しいケースがあるため注意が必要です。


ポイント2:塗布箇所のアクセス性を確認する

部品と部品のはめ合い部分など、ノズルが届きにくい箇所への塗布は、ジェット方式や角度付きノズルの活用が有効です。3Dでワーク形状・塗布位置を確認し、ノズル軌跡とアクセス経路を事前に検証することが重要です。


ポイント3:塗布後の品質検査を組み込む

グリスは透明・半透明のものが多く、目視では塗布確認が難しいケースがあります。塗布工程に続いて画像検査や重量確認の工程を設けることで、塗布漏れ・過不足を工程内で検出できる仕組みを構築することが重要です。


ポイント4:前後工程との連携を設計に含める

グリス塗布工程は単独で成立するものではなく、前後の搬送・組付け・検査工程との連携が不可欠です。ライン全体のタクトタイム・ワークの流れ・治具の共通化などを加味した上で装置仕様を決定することで、工程全体として最適な自動化ラインを実現できます。


ポイント5:特注設計の検討

市販の汎用塗布機では対応しきれないワーク形状・塗布仕様・生産条件がある場合、特注の専用機設計が必要になります。「既製品では対応できない」と判断した段階で、早めに自動機メーカーへ相談することをお勧めします。


5.グリス塗布自動化の導入事例(ケーエスジーの実績より)

事例:プライマー塗布機導入による省人化・材料削減

こちらは自動車業界における組み立て工程において、塗布機を導入した事例です。 こちらのお客様はプライマー塗布を手動で行っておりましたが、塗布範囲や量を一定にすることが難しく、品質が安定しないという問題がありました。


6.グリス塗布自動化の検討ステップ

自動化を検討するにあたって、以下のステップで進めることをお勧めします。

STEP1:現状工程の課題整理 塗布量のばらつき・チョコ停頻度・作業者負担の実態を数値で把握する。

STEP2:ワーク・塗布仕様の整理 ワーク形状・塗布位置・塗布量・グリスの種類・粘度・生産数量・タクトタイムを整理する。

STEP3:自動化方式の仮選定 整理した仕様をもとに、ディスペンサー方式・ロボット方式・専用機のどれが最適かを検討する。

STEP4:自動機メーカーへの相談・ワークテスト 実際のワークを使ったテスト塗布を行い、塗布量・品質・サイクルタイムを検証する。

STEP5:装置仕様の確定・設計・製作 ライン全体を踏まえた装置仕様を確定し、設計・製作・立ち上げまでを一括対応できるメーカーへ依頼する。


まとめ

グリス塗布工程の自動化は、品質の安定化・省人化・チョコ停ゼロを同時に実現できる有効な施策です。しかし、グリスの物性上の難しさや、ワーク形状・ライン条件への対応が求められるため、適切な装置選定と設計が成功の鍵となります。

工場 省人化・自動化ナビを運営する株式会社ケーエスジーでは、グリス塗布をはじめとする各種塗布工程の自動化について、ワークテストから特注機の設計・製作・納入後のサポートまで一貫して対応しています。


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グリス塗布自動化に関するよくある質問

Q. 高粘度グリスでも自動化できますか?
A. はい、対応可能です。高粘度グリスにはプランジャーポンプ方式やスクリュー式ディスペンサーが有効です。使用するグリスの粘度・温度条件を事前にご共有いただくことで、最適な方式をご提案します。

Q. 現在手作業で行っている工程を自動化する場合、まず何を準備すれば良いですか?
A. ワークの図面・塗布位置・塗布量・生産数量・タクトタイムをご準備いただくと、スムーズにご提案できます。まずはお気軽にご相談ください。ワークテストにも対応しています。

Q. 塗布量の検査まで装置に組み込めますか?
A. 可能です。塗布後の重量計測や画像検査を組み込んだライン設計を行うことで、工程内での塗布品質の自動確認が実現できます。

Q. 既存のラインに追加する形での自動化は可能ですか?
A. はい、既存ラインへのインライン組み込みにも対応しています。スペース条件・前後工程との接続仕様を確認した上で、最適な設置方法をご提案します。