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自動塗布機とは?塗布工程を自動化するポイントを紹介します

2024.12.20

自動塗布機とは?

自動塗布機は、工業製品や部品に対して液体やペースト状の材料を正確かつ均一に塗布するための機械です。塗布する材料には、接着剤、塗料、シーラー、グリスなどが含まれます。自動化された塗布作業により、人手で行う際のばらつきやムラが減少し、製品の品質が向上します。また、精密な制御が可能で、塗布量や塗布位置をプログラムによって設定できるため、多様な製品ラインに適応しやすいのが特徴です。このため、自動塗布機は、自動車、エレクトロニクス、建築資材などの幅広い分野で利用されています。

人手による作業との違い

自動塗布機は、人手による塗布作業と比べて、精度と効率に優れています。人手で行う作業では、塗布量の不均一や作業者によるスキル差が品質に影響を与えることがあります。しかし、自動塗布機を使用すれば、塗布量や速度、圧力が正確にコントロールされるため、常に同じ品質を維持することが可能です。また、作業速度も向上し、特に大量生産においては作業コストの削減と生産効率の大幅な向上が期待できます。さらに、人手による塗布作業に比べて、作業者の健康や安全への配慮がしやすく、危険な作業環境での使用も可能です。

自動塗布機のメリット

自動塗布機の導入にはいくつかのメリットがあります。まず、作業の自動化により、作業時間が短縮されることに加え、塗布のばらつきが減少するため、製品の品質が向上します。また、精密な塗布制御が可能なため、材料の無駄を最小限に抑え、コスト削減にも寄与します。さらに、従来の手作業に比べて、塗布作業における安全性が向上し、作業者の疲労や怪我のリスクを減らすことができます。このように、自動塗布機の導入は、企業にとって大幅な効率化とコスト削減を実現するだけでなく、品質向上にも大きく貢献します。

自動塗布機の種類と選び方

スプレー型とローラー型の違い

自動塗布機にはいくつかの種類がありますが、一般的にはスプレー型とローラー型が多く使用されます。スプレー型は、液体やペースト状の材料を微細な霧状にして均一に広範囲に塗布するのが特徴です。主に大きな面積に対して高速で塗布したい場合に適しています。一方、ローラー型は、材料をローラーに塗布し、圧力をかけながら均一に押し広げる方法です。これは、平面や曲面に対しても正確な塗布が可能で、細かい作業が必要な製品にも向いています。それぞれのタイプは用途や材料の種類に応じて選定する必要があります。

用途別に最適な自動塗布機の選定方法

自動塗布機を選定する際には、使用目的や塗布する材料に合わせて最適な機種を選ぶことが重要です。例えば、電子機器の製造ラインでは、精密な位置に接着剤を塗布する必要があるため、精密制御が可能な装置が求められます。また、自動車産業では、大型部品へのグリスやシーラーの塗布が必要となるため、広い面積を効率よく処理できるスプレー型の塗布機が適しています。塗布する材料の粘度や乾燥時間、必要な精度などを考慮し、機種の特性を確認した上で選定することが求められます。

導入コストと維持コストの比較

自動塗布機を導入する際のコストは、初期導入費用だけではなく、維持コストも重要な要素です。初期費用には、機械の購入価格、設置費用、プログラム設定費用などが含まれますが、その後の維持管理費用や材料の消耗品コストも考慮する必要があります。高精度な自動塗布機は初期費用が高額になることが多いですが、材料の無駄を最小限に抑えることができ、長期的にはコスト削減につながることが多いです。また、メンテナンスの容易さや消耗品のコストなど、長期的な維持コストを見積もることで、総合的なコストパフォーマンスを評価することが重要です。

自動塗布機で使用される材料の種類

プライマー(下地処理材)

プライマーは、接着剤やシーラーの密着性を向上させるための重要な下地処理材です。特に金属やプラスチックなど、表面が滑らかで接着が難しい素材に対して非常に効果的で、塗布後の剥がれを防ぎ製品の耐久性を大きく向上させます。自動塗布機を用いることで、プライマーを均一に薄く塗布できるため、仕上がりにムラが生じにくく、高い精度が求められる製品にも適しています。接着や塗装の前工程に必須であり、接合部の強度向上には欠かせない役割を果たしています。

さらに、プライマーには塗布状態を目視確認するため、色粉を混ぜたりブルーライトに反応する塗料を加えることがあります。これにより、目には見えづらい薄膜でも塗布状態の確認が容易になります。また、プライマーは有機溶剤を含んでいるため、火気に注意が必要であり、作業環境では防爆対策が欠かせません。揮発性のある溶剤が空気よりも重いため、回収装置を導入して効率よく回収し、作業者の安全とエコにも配慮した使用が推奨されます。

>>プライマー塗布とは?メリットと自動化ポイントについて

接着材

接着材は自動塗布機で広く使用される材料の一つで、用途に応じた様々な種類が存在します。エポキシ接着剤は高強度であり、構造物の固定に使われますが、シリコーン接着剤は柔軟性が求められる用途に最適です。瞬間接着剤は即座に硬化し、短時間での接着作業に適しています。自動塗布機を使うことで、接着材の量を精密にコントロールでき、安定した接合品質を実現します。材料選定は、接合する素材や環境条件に合わせて行う必要があり、自動塗布機による正確な塗布が品質維持に重要です。

シーラー

シーラーは、隙間を埋めるための材料で、防水や防塵効果があり、主に建築や自動車部品の製造に使われます。シーラーには、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系など様々な種類があり、それぞれの特性に応じて選定されます。自動塗布機はシーラーの均一な塗布を可能にし、作業効率を向上させると同時に、製品の耐久性を高めます。例えば、シーラーを正確に塗布することで、製品の防水性能や耐久性が大きく向上し、メンテナンスの頻度を減らすことができます。

グリス

グリスは機械の部品を潤滑するために使用され、摩擦を軽減して部品の摩耗を防ぎます。自動塗布機を使ってグリスを塗布することで、部品の寿命を延ばし、メンテナンス頻度を減らすことができます。グリスにはリチウム系、シリコーン系、モリブデン系などがあり、使用環境に応じて適切な種類を選定することが求められます。例えば、高温環境下では耐熱性のあるグリスが必要となります。自動塗布機を使用することで、グリスの塗布量を均一にコントロールし、過剰な塗布や不足による機械トラブルを回避できます。また、グリスは粘度が高いためエアーだまりに注意する必要が高いです。

>>グリス塗布の方法と最適な自動化のポイント

 自動塗布機導入による作業効率の向上

塗布作業の精度向上

自動塗布機を導入する最大のメリットの一つは、塗布作業の精度向上です。手作業では、塗布量や塗布範囲にばらつきが生じやすく、品質の一貫性を保つのが難しいことがあります。しかし、自動塗布機を使用することで、プログラム制御により均一な塗布が可能となり、製品の仕上がりが安定します。さらに、機械が適切な圧力や速度で塗布を行うため、材料の過剰な使用や不足を防ぎ、無駄を最小限に抑えられます。これにより、品質管理が容易になり、より高精度な製品を提供できるようになります。

作業時間短縮と人件費削減

自動塗布機を導入することで、作業時間の短縮と人件費の削減が可能です。従来の手作業では、熟練した作業者が一定の速度で塗布を行わなければならず、時間と労力がかかります。しかし、自動塗布機は高い速度で連続的に塗布作業を行うことができるため、作業効率が大幅に向上します。特に大量生産の現場では、1日に処理できる製品の数が増え、生産性が向上します。これにより、作業者の数を減らすことができ、人件費の削減に繋がるため、コスト面でも大きなメリットを享受できます。

作業環境の改善

自動塗布機を導入することで、作業環境の改善も期待できます。塗布作業は時に有害な化学物質を扱うことがあり、手作業では作業者の安全性にリスクが伴います。しかし、自動塗布機を使用することで、塗布プロセスが密閉された環境で行われるため、作業者が直接有害物質に触れることが減り、健康リスクを軽減できます。また、機械が正確に材料を供給することで、作業スペースの汚染や不快な臭いの発生を防ぎ、清潔で安全な作業環境を維持することが可能です。結果として、作業者の生産性向上にも寄与します。

自動塗布機を導入する際のポイント

必要なスペースと環境の確認

自動塗布機を導入する際にまず確認すべき点は、設置に必要なスペースと環境です。自動塗布機のサイズや設置場所によっては、作業場のレイアウトを変更する必要がある場合があります。また、塗布作業に必要な材料やメンテナンススペースも考慮に入れる必要があります。さらに、塗布する材料の種類によっては、温度や湿度などの作業環境が品質に影響を与えるため、適切な環境条件を維持するための設備が必要です。これらの要素を事前に確認することで、導入後のスムーズな運用が可能になります。

工場 省人化・自動化ナビが提供する塗布機の特徴

品質の安定を実現

当社の塗布機の特徴は、塗布する材料毎に適した吸引機構を選定できることです。
塗布作業は作業者の熟練度に応じて品質が大きく変わってしまうため、安定した品質を実現するためには自動化が有効です。

≪過去に対応した材料≫
プライマー、シーラー、グリス

こちらに記載のない塗料に関しても、メーカーと連携しワークテスト等を実施して対応することも可能です。

ランニングコストの削減

塗布機を用いて塗布作業の自動化を実現することで、塗布で使用する塗料を適量に安定させることが可能です。

過去には塗布材の使用量を1/10に低減し、1か月半程度で補充していた塗料を半年もたせることができたと、お喜び頂いた事例もございます。

また手作業では塗料が気化してしまいますが、装置では塗料が空気に接する時間が短いため、気化を抑えて品質劣化を防ぎます。

後工程への不良流出を防止

塗布工程の不具合として、グリスの塗布不良、過剰な塗布などが考えられます。

当社の塗布機であれば、塗布工程を自動化することで、塗布の量や、位置、速度を一定に正業することが可能ですので、安定した品質で塗布工程を行うことが出来ます。
結果として、後工程不良流出0の高品質な塗布機を製作することが可能です。

>>グリス塗布の方法と最適な自動化のポイント

工場省人化・自動化ナビが手掛けた塗布機

工場省人化・自動化ナビは塗布機特注製作に対応しております。お客さまの工場ラインを踏まえて最適な塗布機を提案・製作させていただきます。

プライマー塗布機導入による省人化・材料削減

こちらは自動車業界における組み立て工程において、塗布機を導入した事例です。 こちらのお客様はプライマー塗布を手動で行っておりましたが、塗布範囲や量を一定にすることが難しく、品質が安定しないという問題がありました。

そういった課題を抱えていたお客様に対し…

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まとめ

自動塗布機は、接着剤やシーラー、グリスなどの材料を均一かつ精密に塗布するための機械であり、自動車やエレクトロニクスなど幅広い産業で活躍しています。手作業に比べ、塗布精度が高く、ばらつきやムラが減少することで製品の品質が向上します。また、作業の自動化により時間短縮や人件費削減が可能となり、長期的なコスト削減につながるのが特徴です。

さらに、作業環境の改善や作業者の安全性向上にも寄与します。塗布材料の種類に応じた最適な機種を選定し、適切な環境で運用することで、自動塗布機は生産効率と品質管理の両立を実現します。

工場 省人化・自動化ナビは自動塗布機の特注設計製作にも対応しております。お客さまの工程ラインに最適な自動塗布機を提案させていただきますので、もし自動塗布機を検討中のかたは是非お気軽にご相談ください。